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役員の"補欠"という用語

質問: 取締役の一人が任期の途中で退任しました。代わりの者を補欠で選任しようと思いますが、会社法では補欠の制度が変わったのですか?


最近になって"補欠"という一つの用語が、異なる概念に用いられるようになったので混乱が生じています。
会社の役員(取締役、会計参与及び監査役)について"補欠"という用語は下記のように2通りの異なる意味があります。

1.役員に欠員ができた時点で、新たに選任すること。

役員が辞任等で法定数や定款に定められた数を下回ったときに、その後任者として役員を新たに選任することを、従来から”補欠”と称していました。
この意味でいう"補欠"役員は、臨時株主総会の決議を経て新規に就任する正規の役員であり、選任後その登記をする必要があります。
たいていの会社の定款においては、役員任期の定めに 「補欠または増員により選任せられた者の任期は、前任者の残任期間と同一とする」 という趣旨の文言が入っていると思いますが、 ここでの"補欠"という用語は、役員に欠員ができた時点で新たに選任するという意味で用いられています。
会社法の条文には、この意味での"補欠"という単語は出てきませんが、欠員を埋めるため役員を選任する時には従来通り"補欠"という用語を使います。
 

2.役員に欠員ができたときに備えて、前もって選任すること。

大きな会社では、臨時株主総会を開く際の事務手続きが煩雑になります。役員に欠員が出たときに役員選任のための株主総会を開くことを避けるために、法定数よりも多めの役員を選任しておくということが以前はよくありました。 しかしこのための役員報酬がばかにならないということで、経団連等の要請により、欠員が生じたときにはじめて就任する、控え選手としての"補欠"役員が認められることになりました。
この控え選手としての補欠役員の制度は監査役については平成15年の商法改正、取締役と会計参与については平成18年の会社法施行(329条2項)で定められました。
この補欠役員は、株主総会の決議をもって通常の役員と同様に選任されますが、欠員の発生により就任するまでは役員としての資格はなく、役員登記もできません。
この控え選手としての補欠役員の制度は大会社に限らず利用できますので、たとえば同族会社で高齢の取締役が事故あったときの後継者紛争の予防などに使えるかもしれません。(補欠役員を選任するにあたって、会社の定款を変更したり登記をする義務はありません。)
 
 

会社法で前記2の意味での"補欠"という用語が用いられるようになりましたが、前記1の意味で言う"補欠"という用語が無くなったわけではありませんので2つの使われ方を混同しないよう気を付ける必要があります。