(法人や官庁が一定の事項を第三者に知らせることを公告といいますが、このページでいう公告とは会社法に定められた公告に限ります。)
会社法では債権者や株主に大きな影響を及ぼす行為のうち、特に指定する行為に対しては公告をすることを義務づけており、公告の方法としては次のいずれかを定款に定めることができる、としています。(939条)
1 官報に掲載する方法
2 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
3 電子公告
会社が公告をする方法として、上記の1と2の二つを併せて定款に定めることもできます。
公告をする方法として 3の電子公告を定款に定めた時は、基本的にほかの方法を併記することはできませんが、やむを得ず電子公告ができない時の補助的方法としてであれば、ほかの方法も併せて定款に定めることができます。
公告の方法を定款に定めない会社での公告方法は、939条4項の規定により「官報に掲載する方法」になります。
旧有限会社は会社法施行前には公告の方法が登記されていませんでしたが、会社法施行後は登記官によって「官報に掲載する方法」が登記されています。
会社の登記簿には公告をする方法が登記されますが、登記された方法の如何にかかわらず、官報公告が義務づけられている法律行為もあります。また、本来は債権者への個別通知が義務づけられている法律行為のうち、官報公告に加えて日刊新聞の公告か電子公告を行う事で、債権者への個別通知が省略できるというものもあります。概略は下の表を参考にしてください。
この表は概略を説明するための表であり正確さに欠けています。具体的事例にあたっては必ず会社法その他関連法令をよくご覧下さい。
| 公告の方法 |
株式会社の公告の例 |
| 登記した方法で行う公告 |
基準日設定公告(124条)
株券を発行している会社の株券提出公告(219条)
株券を発行している会社が株券を廃止する際の公告(218条)
公開会社が新株募集の際に通知に代えてなす公告(201条) |
| 登記した方法にかかわらず、官報で行う公告 |
会社の解散公告(499条)
外国会社の日本における代表者全員の退任(820条) |
登記した方法にかかわらず官報で行う公告のうち、
日刊新聞の公告か電子公告を併せてすれば債権者への個別通知が省略できる公告 *1) |
資本金減少における債権者異議申述の公告(449条)
合併や分割の債権者異議申述の公告(789,810条) |
| 登記した方法にかかわらず、インターネットで行うこともできる公告 |
決算公告(440条)
注:決算公告のみをインターネットで行う場合は、公告方法として電子公告を登記する必要はありません。こちらをご覧下さい。 |
*1) 登記されている公告の方法が官報公告だけである場合は、日刊新聞への公告や電子公告ができないため、債務者への個別通知は省略できません。
電子公告制度を利用する会社の登記簿(登記事項証明書)には、次の例のような登記がされます
| 公告をする方法 |
官報および日経新聞に掲載してする |
電子公告の方法により行う
http://www.touki-no-rei.example.co.jp/ir/index.html
当会社の公告は、電子公告による公告をすることができない事故その他のやむを得ない事由が生じた場合には官報に掲載してする。 |
平成18年6月1日変更 |
| 平成18年6月8日登記 |
会社が法定公告をする時は、登記簿に記載されたアドレスか、そこから指示されているページにhtml形式やpdf形式などで公告をします。公告には不特定多数の者がアクセスできる必要があり、閲覧するのに会員登録を求めたりすることは認められていません。(会社法2条34項)
公告は法令が定めるとおりの時期・期間に継続して行う必要があります。官報や日刊新聞でする場合は、公告が開始する前日に公告を掲載しますが、電子公告はインターネットでアクセスできる期間が公告期間となり、公告開始日の0時から終了日の24時までの間、インターネット上にファイルを継続して公開する必要があります。
サーバーのダウンなどやむを得ない理由で公告が中断した場合は、その合計時間が全公告期間の10分の1を越えなければ公告を追加できる規定が設けられています。(会社法940条3項)
公告を官報や日刊新聞でした時は、公告を行ったことの証明が物理的な新聞紙によってできますが、電子公告の場合は何もしないと、定められた期間中に公告を継続して行っていた事の証拠が残りません。そこで会社法では電子公告が適切に行われたことの証明を民間の調査機関によってする制度を定めています。
会社が決算公告以外の法定公告をなすときは、公告が適切に行われたことの調査と証明を法務省指定の調査機関に委託する必要があります。(会社法941条) 調査の委託費用は調査機関によって異なりますが、10万円前後の金額で、新聞掲載費用よりは概して安く、官報掲載費用より少し高いか同じくらいという設定になっています。(将来的にはもっと安くなるかもしれません)
個々の調査機関については、法務省による調査機関の一覧表からご覧下さい。2009年10月現在6つの会社が調査機関として認可を受けています。
電子公告制度を利用する上で、弊事務所が考えるメリットとデメリットを下に挙げます。
(もっとも非上場の小規模の会社の場合、会社法に定められた公告をする事がそもそも少ないでしょうから、インターネットでの決算公告には意味があっても、現行の公告方法を電子公告に代える意味は無いかも知れません。)
電子公告のメリット
・インターネット上の公告は周知性に優れるという意見がある。
・日刊新聞に公告をするより一般に低コストでできる。(官報公告と同じくらい)
・電子公告か日刊新聞の公告により、債権者への個別通知が省略できるような法律行為がある。
・電子公告か日刊新聞の公告は、会社法201条で必要になる公開会社の新株募集通知に代えることができる。
電子公告のデメリット
・電子公告制度を利用するにあたって、定款変更や登記の手続が必要になる。
公告方法として電子公告を選ばず、決算公告のみをインターネットでする場合はこちらをご覧下さい。
1. 定款の変更
株主総会で、公告の方法を電子公告とする旨決議し、定款を変更します。 このとき、
1 公告アドレスとして登記簿に記載するアドレス
2 決算公告をその他公告と別アドレスにするならば、そのアドレス
3 やむをえず電子公告ができない時の補助的方法を定めるならば、その方法
も決議します。
↓
2. 登記の手続
公告の方法を変更する登記をします。登記申請を委託される場合は弊事務所をよろしく。
↓
3. 調査機関の選択
決算公告以外の法定電子公告をする際には、公告調査を調査機関へ委託する必要があります。現在認可されている調査機関は調査を委託する日よりも前に会員登録を要するようなので、あらかじめ登録をしておくと公告が必要な時に納期の算出がしやすいと思います。こちらのページ(法務省サイト内)に各調査機関へのリンクがありますので、 詳細は各調査機関のページで確認してください。
↓
4. 公告の計画
公告をするにあたっては、その内容や公告期間について、会社法ほか証券取引法などの法令の要項を満たすように計画を立てます。なお、調査機関に対する公告調査の委託は公告開始より5日程度より前にする必要がありますが、調査機関によって若干の違いがありますので、詳細は各調査機関にご確認下さい。
公告はhtml形式やpdf形式のほか、一般に用いられる形式が利用できますが、調査機関によって使用できるファイルの種類やファイルの最大サイズに違いがありますので、あらかじめ確認してください。一般的には書き換えを禁じたpdf形式がよく使われるようです。
↓
5. 公告の公開
予定した公告開始時間にサーバーに公告ファイルをアップロードし、登記しているURLからリンクを張ります。(調査機関は公告開始日より前に、テストのためにファイルをアップロードするように要求するかも知れません。)
公告開始時間になると、法務省の電子公告システムのサイトからも公告へのリンクが貼られます。(電子公告が実際にどのようなものか知りたい時は、このサイトの検索語に"会社"と入力してから検索をかけてみてください。現在なされている電子公告の一覧を見ることができます。)
サーバーのダウンや回線の不調・クラッカーの攻撃等で公告が中断した場合は公告調査機関の指示に従って追加公告をします。ただし、中断時間が全公告期間の10分の1を越えると公告が無効になり、やり直しの必要があります。
↓
6. 公告の終了
無事に公告期間が終了すると、調査機関が電子公告調査結果通知を発行します。この通知書は後の登記申請の添付書類として使います。
|